不登校(ふとうこう)とは、学校に登校していない状態を指します。登校拒否とも言います。
日本における「不登校」の語については、研究者、専門家、教育関係者らの間に全国的に統一した定義がなく多義的でありますが、1968年、日本児童精神医学会で精神医学者の清水将之が初めて使った言葉であり、当初は、病気や貧困、非行などを原因とするものは「不登校」の定義からは除外されていたそうです。
そのような「ありふれた」理由以外での新しい欠席現象に対して名づけられたものでありますが、現在は幅広い意味で使われることも多いです。
管理人自身も、長い間不登校だった経験からこういったページを作っております。
目次
児童生徒の不登校のきっかけは様々ですが、不登校状態が継続し,時間が経過することで不登校の要因は変化していきます。さらに,学習の遅れや生活リズムの乱れなどの要因が加わることで,不登校の状態が長期化することもあります。
不登校の要因と背景にはどんなものがあるのでしょうか。文部科学省が行った不登校経験者へのアンケートによる「不登校に関する実態調査~平成 18 年度不登校生徒に関する追跡調査結果報告書~」(平成 26 年 7 月 9 日公表)(以下,「不登校に関する実態調査」)を抜粋しています。
○不登校のきっかけ(複数回答)
文部科学省は同様の調査を平成 13 年度にも公表していますが,今回調査では「生活リズムの乱れ」,「インターネットやメール,ゲームなどの影響」の 2 つを新たに質問項目に加えました。どちらも高い比率の回答であり,不登校の要因を考える上で,子どもの生活リズムや生活習慣の乱れにも着目する必要があることを示しています。
(1)不登校の要因と背景
「無気力でなんとなく学校へ行かなかったため」・・・・・・・・・43.6%
「学校へ行こうという気持ちはあるが,身体の調子が
悪いと感じたり,ぼんやりとした不安があったりしたため」・・・42.9%
「いやがらせやいじめをする生徒の存在や,友人との
人間関係のため」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31.2%
「朝起きられないなど生活リズムが乱れていたため」・・・・・・・33.5%
「勉強についていけなかったため」・・・・・・・・・・・・・・・26.9%
「学校へ行かないことをあまり悪く思わなかったため」・・・・・・25.1%
「友人との関係」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52.9%
「生活リズムの乱れ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34.2%
「勉強がわからない」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31.2%
「先生との関係」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26.2%
「クラブや部活動の友人・先輩との関係」・・・・・・・・・・・・22.8%
「親との関係」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.2%
「家族の不和」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.0%
「インターネットやメール,ゲームなどの影響」・・・・・・・・・15.3%
不登校の要因や背景は,児童生徒の生活の中心である「学校・家庭に係る要因」が大きな影響を与えていますが,それ以外に「本人に係る要因」や,「社会全体の変化の影響」も考慮する必要があります。多くの場合,様々な要因が複雑に絡み合い,結果として不登校という状態になっているのです。
不登校児童生徒の支援を考える上では,不登校児童生徒を見守ることも大切ですが,主体的に社会的自立や学校復帰に向かうような環境づくりや働き掛けを行うことが必要です。支援を行うに当たっては,不登校の背後にある要因・背景と,最初に不登校を引き起こすことになった直接のきっかけ等を整理して捉えることが重要です。また,学級担任だけではなく,養護教諭やスクールカウンセラー(SC),スクールソーシャルワーカー(SSW)等が連携して不登校児童生徒やその保護者のニーズを的確に把握した上で,個々の児童生徒の要因に応じた効果的な支援策を早期に講じることが求められます。
不登校の類型による支援の例
「不登校に関する実態調査」では,不登校を「無気力型」,「遊び・非行型」,「人間関係型」,「複合型」,「その他型」の 5 つに類型化(「不登校のⅤ類型」)しました。(※類型は一つの状態を示しているだけで,児童生徒の成長過程や関わりにより状態が変化していくことに注意が必要です)下の表は不登校の類型に応じた,登校へ向けた支援の例をまとめたものです。
類型 支援の例
無気力型:達成感や充実感を繰り返し味わわせることで,自己有用感・自己肯定感を高める
遊び・非行型: 決まり事を守らせる毅然とした教育的指導・規則的な生活リズムを身に付けさせる
人間関係型:きっかけとなった人間関係のトラブルを解消する
※上記の支援を行うことと同時に,不登校期間の学習の遅れを解消する必要があります。
◇多様な要因や背景のある不登校をひとくくりに扱うのではなく,個々の要因・背景に応じた適切な支援が求められる。
◇児童生徒や保護者との関係を丁寧に構築しつつ,本人が社会とのつながりを形成して主体的に歩み出せるための支援を行う必要がある。
不登校児童生徒への支援は,学校に登校するという結果のみを目標とするものではありません。
一方で,不登校による学業の遅れや社会的自立へのリスクが存在するのも事実です。不登校児童生徒数が高い割合のまま推移している千葉県の現状を考えると,その支援は大変重要です。では,不登校児童生徒の支援を考えるとき,どんな取組が必要でしょうか。そのことを考えるために,P2 の②・③のグラフの一部を表にしたものを下に示します。
【平成 27・28 年度の不登校児童生徒数と継続率】
平成 27 年度 平成 28 年度 不登校児童生徒数 不登校継続率 不登校児童生徒数 不登校継続率
小学校 1,233 人 51.7% 1,456 人 45.6%
中学校 4,160 人 58.0% 4,191 人 59.7%
平成 28 年度は小学校で 45.6%,中学校で 59.7%の児童生徒が前年度から不登校の状態を継続しています。不登校児童生徒への支援は今後も懸命に続けていく必要があります。さらに,この表から次のことがわかります。平成 28 年度の不登校児童生徒のうち,小・中学校で約半数が前年度から継続しています。一方,平成 28 年度の不登校児童生徒数は,平成 27年度に比べて減っていません。
新たな不登校を生まないための取組には,教育的予防の「未然防止」と,治療的予防の「初期対応」の2種類があります。それぞれについての理解をし,混同することなく,適切に取り組むことが重要です。
不登校の解決方法は、個々の事情や背景によって異なる場合が多いですが、以下に一般的なアプローチをいくつか紹介致します。
以上が一般的な不登校の解決方法のいくつかです。ただし、各ケースは個別であり、必要なサポートや対応は異なる場合があります。個人的な解決方法としては、学校に行かなくても勉強もそれ以外も学べる場所や経験を積み、社会に出ることを楽しみにすることだと感じています。