話題の一冊、『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は、当事者でもある著者・借金玉氏が、自身の経験をもとに身につけたライフハック術を記したものだ。自称“日本一意識が低い自己啓発書”を書き上げるまでには、多大な苦労があったと語る。
「大学時代にADHDの診断を受けるも、持ち前の面接力の高さで大手金融機関に入社できました。でも、新人に与えられる誰でもできる雑務の時点で、発達障害特有の“仕事の全体像が見えないと手をつけられない”という症状が災いし、明らかに出遅れてしまった。おまけに人間関係が壊滅的になり、2年も持たず職場を敗走しました」
その後、出資金をかき集め起業するも失敗。30歳の節目に無職、多額の借り入れを抱えたこともあり「借金玉」を名乗り始めた。
「ジョブズなど偉人たちも発達障害だという噂があり、自分にも“特別な才能がある”と信じた節がありました。でも、見事に起業に失敗した通り、結果は違った。その後には二次障害のうつ病まで患い、自分が“普通ですらないこと”を受け入れるのに時間は掛かりましたが、『誰も救ってくれない世界で生きていかなくてはいけない』という覚悟はできましたね」
現在も薬で症状を抑える生活は続いているが、それでも都内で営業マンとして勤務している。そんな日々のなかで借金玉氏が練り上げていったのが、著書にもある仕事術の数々だ。それらはすべて「自分は人と同じようにできない」ことを前提にしているという。
「言うなれば究極の弱者のライフハックです。例えば鞄の中に必要なものをすべて詰め込む『鞄ぶっこみ術』も、絶対に自分は忘れ物をするとわかっているから。昔はいろんな整理術とか自己啓発を試してみましたが、全部ダメでした。だから『自分はできない』ということを認めて、そのうえですべきことをするんです」
なくすことを前提に「最近購入したバイクの合鍵を6個作った」という借金玉氏。ほかにも、名刺はケースごと3つ持ち歩き、スマホの充電もし忘れるのでモバイルバッテリーは常に2個携帯。徹底して“もしものとき”に備えている。そうして初めて、一般社員として社会人生活を続けられるという。
「発達障害は昔よりも認知されるようになりましたが、それでも普通のサラリーマンが気楽に話せる場なんてない。僕の本が売れたのも、それだけ『実際にはどんな生き方をすればいいのか?』と、生の情報を知りたい人がいたからでしょう。発達障害の人の中には『社会は助けてくれない』と、恨みすら持っている人もいます。けど、それだと意味がないと思うんです」
借金玉氏の実体験が詰まった著書は、まさに「今の時代が生み出したヒット作」と言えるだろう。
《借金玉氏考案の仕事術3選》
1.必要なものはすべて鞄にぶっこんで持ち歩く
仕事道具、身だしなみグッズなど、生活に必要なものはすべて鞄にぶちこむ。大容量のサイズを選ぶのはもちろん、開口部は広く、仕切りも豊富なものを選ぶ。入れ替えると紛失のタネになるのでそのほかの鞄は廃棄する
2.忘れ物を防ぐため予備を大量に購入
仕事で必要なものはすべて大量購入し、自宅と会社に保管。小物は鞄に入れておけば忘れ物はしないで済む。借金玉氏は「絶対に夜に充電し忘れる」という理由でモバイルバッテリーを常時2つは持ち歩いているそうだ
3.顔と名前を覚えるため名刺に「あだ名」を書く
記憶力に自信がない借金玉氏は上司の顔すらおぼろげのため、貰った名刺にあだ名を記していく。キャッチーなほうが視覚情報として結びつきが強くなるため、「カマボコ顔のメガネおっさん」など楽しげなものを書くとか
【借金玉氏】’85年生まれ。ADHDの発達障害者。早稲田大学を卒業した後に金融機関に勤めるも“敗走”。現在は営業マンとして勤務している
発達障害の当事者が考えた「弱者のための仕事術」
以上となりますが、如何でしたでしょうか?
会社員の方なら誰しも自分のやり方、やりやすい配置等、仕事での自分のくせ、やり方があると思います。ただ発達障害がある方だと、そうも行かない場合もあると思いますし、その前に忘れ物がひどい、人の見分けがつかない等あるかもしれません。
管理人も会社員をしている時は、自分なりのルールや、やり方をしていましたので、紹介致します。
①やることを付箋に書く
私の場合は、一気に色々なことを同時並行するというのが苦手だったのと好きじゃなかったので、その日にやらなければいけないことを付箋に一覧で書いていました。並びはテキトーです。それを目視して、一つずつ終わらせていき、終わったものは付箋の一覧に斜線を引く。そうすると終わっている感じがして気分も上がりましたし、終わっていることと終わっていないことが一目瞭然で分かりやすかったです。
②簡単なことから始める
朝というのは会社に着いたばかりで気持ちのエンジンが掛かりづらいので、上記の付箋のやり方で、一覧の中からすぐに終わるものから取り掛かり、一覧の数を減らして気分を上げていくというやり方もしていました。
③名刺に特徴を書く
上記の3.名刺にあだ名を書くと一緒ですが、私も名刺にその人の特徴を書いていました。タイミングは名刺をもらって、別れた後すぐです。でないと特徴を忘れてしまうため。1対1で合う方や覚えやすい方は良いのですが、特に取引先から5人とか大人数で出てこられた場合は大変です。解散した後に少しでも特徴を記入しておくと次回以降ぐっと楽になります。
④一呼吸着く
急なクレームや急ぎの案件が入った場合は深呼吸を何度かして落ち着く。仕事をしていて急なクレームや急ぎの仕事が入ると慌てるし、焦りますよね。もしそのまま仕事に取り掛かると偉いことになります。そういう時は急ぎといっても数十秒くらいは絶対に時間があるので、パニックになっている頭で深く深呼吸をします。そうすると頭が少し落ち着いて冷静に物事の順番ややるべきことに考えを巡らせられるようになります。それでも落ち着けない場合は少しトイレに歩くなり、体を動かしましょう。体を動かすと血の巡りが良くなり、頭もスッキリします。
以上、少しでも皆様のお役に立てますよう祈っております。