LGBTQとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、QueerやQuestioning(クイアやクエスチョニング)の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称のひとつとしても使われることがあります。
※Qを表す「クイア」は、もともと「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」などを表す言葉で、同性愛者への侮蔑語でしたが、現代では、規範的な性のあり方以外を包括する言葉としても使われています。
「クエスチョニング」は、自らの性のあり方について、特定の枠に属さない人、わからない人等を表す言葉です。 日本におけるLGBTQの割合は、調査機関・調査方法によってデータにバラつきがありますが、現在では約3%〜10%と言われています。
目次
性のあり方は、単純に「男性/女性」だけではなく、分解して考えてみるといくつかの要素に分けて考えることができます。例えば、以下の4つの要素に分けて考えてみましょう。
法律上の性別
生まれた時に性器の形などから、お医者さん等に「女の子ですね」「男の子ですね」と言われ、役所に届け出ることで法律上「女性」か「男性」に割り当てられる性別のことです。
性自認
自分の性別をどのように認識しているか、という要素。男性だと認識している人、女性だと認識している人、中性だという人、決めたくないという人など、様々です。
性的指向
自分の恋愛や性愛の感情が、どの性別に向くか/向かないか、という要素。 異性を好きになる、同性を好きになる、どちらの性も好きになる、性別で好きになる人を決めたくない、特定の誰かを好きにならないなど、様々です。
性表現
社会的にどのように性別を表現するか、振舞うかを表す要素。 俺・僕・私といった一人称や、服装でスカートがいい、パンツスタイルが合うなど、様々です。性のあり方はLGBTQとそれ以外の人でくっきり分かれているのではなく、グラデーションになっています。
性のあり方はL・G・B・T・Qだけでなく、例えば以下にあげられるように、多様な人々がいます。
Xジェンダー
自身の性を男女いずれかに限定しない人々のこと。
Aロマンティック
他者に恋愛的に興味関心を抱かない人々のこと
Aセクシュアル
他者に性的に興味関心を抱かない人々のこと。
パンセクシュアル
性的指向が性別にとらわれない人々のこと。
近年、LGBTに代わり、SOGIという言葉で表現されることもあります。
SOGIは、「Sexual Orientation and Gender Identity (性指向と性のアイデンティティ)」の頭文字から撮った言葉です。
誰もがそれぞれのセクシュアリティを持っているという考え方に基づいています。
人間は生まれ持っての性別(sex)があり、大半は男性か女性に生まれます。ただし、生物学的性は、非常に複雑で、生物学的に男性と女性の間に簡単に線を引くことができないこともあります。
生物学的性は、具体的には、生殖機能の違いによってセクシャリティを判断します。妊娠出産や授乳が出来るのは女性だけであり、男性にその機能はありません。
また、男性ホルモン・女性ホルモンの量の差で体毛や筋肉の量の違いにより、外見にも違いが表れます。生物学的性は、生物(動物)としての性差によってセクシャリティを判断するので、「身体的性」と呼ばれることもあります。
生物学的性は、染色体、ホルモン、遺伝子、性器、第二次性徴などの生物学的特徴によってセクシャリティを判断することを意味する言葉ですが、「社会的性」とも言われる「ジェンダー」とは区別されなければなりません。
社会的性とは、自分の性的アイデンティティをどのように考えるかということです。ジェンダーは、男性か女性かという二者択一で理解するのではなく、スペクトラム(グラデーション)として理解しなければなりません。社会的性は、男性または女性であるとは限らず、男性と女性の間である、男性でも女性でもある、男性でも女性でもない、定まっていない、決めたくない、流動的である、など様々です。自分の性的アイデンティティがこのようにスペクトラムであるという考え方は比較的最近になって出てきた考え方です。
毎日、社会のなかで生きる人々は、自分の性別に基づいて数え切れないほどの決断をしています。その中には、使用するトイレの選択、法的文書の記入、スポーツの試合など、議論を引き起こすものもあります。
性自認(ジェンダー・アイデンティティ: Gender Identity)は、「男性」、「女性」、「男性と女性のどちらでもある」、「どちらでもない」などといった、自分がどの性別であるかに対する自身の認識・判断のことです。生物学的性と一致する人もいれば、一致しない人もいます。
ジェンダー・アイデンティティは、出生時に割り当てられた性別(戸籍上の性別)・身体上の性別(sex)とは独立したものです。出生時に割り当てられた性別とジェンダー・アイデンティティが異なる人を「トランスジェンダー」と言います。
性的指向(Sexual Orientation)は、恋愛感情や性的な関心の対象が、どの性別に向いているかを示すものです。異性愛、同性愛、両性愛などがあります。
異性愛と一言で言っても、100 パーセント異性に向いているかというと人それぞれであり、性的指向も多様です。また、恋愛感情や性的な関心がいかなる性別の人にも向かないということもあります。
通常、性的指向は以下3つのカテゴリーで語られます。
ただし、どちらも好きにならない「アセクシュアル/エイセクシュアル」という性的指向もあります。
言葉遣い・服装・振る舞いなど、自分らしさが社会からどのような性別と捉えられているのかを「性表現」と言います。
服装や髪型、仕草、言葉遣いなどの外見に表れる社会的性(ジェンダー)を、自分がどう表現したいかということです。
言い換えると、見た目の男らしさ/女らしさのことを言います。性表現は、性自認と混同されがちですが、性自認が女性だとしても、性表現が女性だとは限りません。自分の性別を女性と思っているからといって、たとえば、スカートをはきたいかどうかは自分自身で判断することです。
ファッション界ではすでにジェンダーレスやジェンダーフルイディティといった言葉で、既成の男らしさ/女らしさにとらわれないスタイルが認知されるようになっています。
LGBTは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gey)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の4つの英語の頭文字を組み合わせた言葉で、一般に、性的マイノリティの総称として使われています。
しかし、LGBT以外にも、男女どちらにも恋愛感情を抱かない人(アセクシャル)、自分の性を決められない・わからない人(Xジェンダー・クエッショニング)など、さまざまな人がいます。つまり、全ての性的少数者(セクシャルマイノリティ)が、「LGBT」に分類される訳ではなく、自身の性自認や性的指向が定まっていない人(「Q」=クエスチョニング(Questioning))など、様々な人たちがいるのです。
このことは、つまり、LGBTだけが、セクシュアルマイノリティではないということを意味しています。
LGBTがまだまだ認知されていなかった時代と比べれば、今やLGBTという言葉は随分広く認知されるようになっていますが、性のあり方はさらに多様であり得るということもまた、認知されるようになってきているのです。
それを表す言葉が、「LGBTQ」「LGBTQIA」「LGBTTIQQ2SA」という言葉です。LGBTQは、LGBTに「Q」がプラスされた言葉です。 このプラスされたセクシュアリティというのが、「クエスチョニング(Questioning)」、そして「クィア(Queer)」です。このQは、LGBT以外のセクシュアリティがあることを意味しています。
このように、セクシャリティは多様であり得ることから、それを表現する言葉であるLGBTという言葉にも広がりが出てきています。以下では、LGBT以外のセクシャリティのあり方について説明していきます。
「カミングアウト」とは、自分の性的指向や性自認などを自ら他の人に明らかにすることです。「Coming out(Coming out of closet)」が語源で、社会の差別・偏見や周囲の無理解から自分のセクシュアリティを隠さざるを得ない状態のことを「クローゼット(押し入れ)に隠れている状態」とし比喩的に表現したものです。
カミングアウトは、自分のセクシュアリティを受け入れ自分らしく生きていくための手段の一つである一方、カミングアウトすることでこれまでの人間関係を壊すのではといった不安があり、本人にとってはとても勇気のいることです。
カミングアウトするかどうかや、いつ、誰に、どのように伝えるかは、当事者本人が決めることであり、決して周囲の人が強要してはなりません。
カミングアウトは、相手への信頼に基づく行為ですから、当人の許可なくカミングアウトされた性別情報や性的指向を第三者に暴露することを「アウティング」といい、当人の尊厳を傷つけたり居場所を奪ってしまうなど、危険性の高いプライバシー侵害行為となります。