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就労選択支援について

「就労選択支援」とは?

就労選択支援 利用法

就労選択支援とは、障害のある人が希望や能力・適性に合った仕事探しや支援機関選びができるよう支援するサービスです。

これまでも、就労移行支援や就労継続支援などの就労系障害福祉サービスはありましたが、これらのサービス利用は申請段階でどのサービスを受けるのかを決めなければなりませんでした。その為、利用者にとっては必ずしも適切な選択ではないケースもあり、その結果として就労が定着しないなど、課題も多くありました。

就労選択支援の目的は、以下のように示されています。

”働く力と意欲のある障害者に対して、障害者本人が自分の働き方を考えることをサポート(考える機会の提供含む) するとともに、就労継続支援を利用しながら就労に関する知識や能力が向上した障害者には、本人の希望も重視しながら、就労移行支援の利用や一般就労等への選択の機会を適切に提供する。

引用:就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫ P.13|厚生労働省

この制度の一番の特徴は、「就労を希望する障害者本人と支援者が「協同して」就労アセスメントを行うことです」。

希望や適性、能力のほか、時間・日数などの労働条件、働くにあたって必要な合理的配慮を客観的に評価し、その情報をもとにサービスの利用や一般就労に向けての選択の機会を提供します。

支援対象となる方は?

新たに就労系障害福祉サービスの利用を希望する方” or ”すでに就労系障害福祉サービスを利用している方”が対象です。

■(新規) 新たに就労継続支援A型 & B型のサービスの利用を希望する場合、A型は2027(令和9)年4月から、B型は2025(令和7)年10月から、原則として就労選択支援を先に利用することが求められます。

■(継続) 就労継続支援A型 & B型ともに既にサービスを利用している方が、支給決定の更新時に就労選択支援を利用するかどうかは任意となります。

■(新規) 就労移行支援については、新たにサービス利用を希望する方は、就労選択支援の利用は任意となります。

■(継続) 就労移行支援を現在も利用しており、標準利用期間を超えて更新したい場合に就労選択支援の利用が必須になる見込みです。

就労移行支援事業所などが実施する現在の「就労アセスメント」は、就労継続支援B型の利用希望者のうち条件に当てはまる人だけが対象でした。就労選択支援の対象は就労アセスメントよりも広くなっています。

就労選択支援の実施主体はどこ?

サービスの特性から、障害者の就労支援に一定の実績や経験を持ち、地域における就労支援に関する情報(社会資源、雇用事例など)を適切に提供できる事業者が運営の主体になると見込まれます。

厚生労働省のサイトでは、「検討の方向性」として以下のように挙げています。

・障害者就労支援に一定の経験・実績を有し、地域における就労支援に係る社会資源や雇用事例などに関する情報提供が適切にでき、過去3年間において3人以上、通常の事業所に新たに障害者を雇用させている以下の事業者(※)を実施主体とすることを検討してはどうか。※就労移行支援事業所、就労継続支援事業所、障害者就業・生活支援センター事業の受託法人、自治体設置の就労支援センター、人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)による障害者職業能力開発訓練事業を行う機関、これらと同等の障害者に対する就労支援の経験及び実績を有すると都道府県等が認める事業者・指定基準において、「就労選択支援事業者は、定期的に(自立支援)協議会に参画することとし、また、ハローワークへ訪問するなどして、地域における就労支援に係る社会資源や雇用事例などに関する情報収集に努め、収集した情報を利用者に提供することで、より的確な進路選択を行いやすくするように努めなければならない。」ことを規定することを検討してはどうか。
厚生労働省 第42回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料 資料1 就労選択支援に係る報酬・基準について 19ページより抜粋

※ただし、既存の就労移行支援や就労継続支援を運営する事業者が就労選択支援も担う場合、
「利用者に一般就労できる可能性があるにもかかわらず、自法人の就労継続支援にとどめておく」
「利用者を自法人の就労系障害福祉サービスへ誘導する」

などのケースが発生する可能性を否定できません。

そこで厚生労働省では、中立性を担保するため以下の規定を設けることを検討しています。

・自法人が運営する就労系障害福祉サービス等へ利用者を誘導しない仕組み(介護保険の居宅介護支援における特定事業所集中減算等を参考とした仕組み)
・必要以上に就労選択支援サービスを実施しない仕組み(本来の主旨と異なるサービス提供の禁止)
・障害福祉サービス事業者等からの利益収受の禁止
・本人へ提供する情報に偏りや誤りがないようにするための仕組み(※多機関連携によるケース会議)※多機関連携によるケース会議・多機関連携によるケース会議において把握した本人の意向、関係機関の見解等を踏まえてアセスメント結果を作成する。
・(自立支援)協議会の就労支援部会等を定期的に活用する。
・オンライン会議等の活用も可能とする。
厚生労働省 第42回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料 資料1 就労選択支援に係る報酬・基準について 21ページより抜粋

就労選択支援の利用期間

就労選択支援の利用期間(支給決定期間)は1か月が原則とされており、自己理解などの改善に向けて1か月以上必要であれば、2か月の利用が認められます。

また就労選択支援のサービス内容のうち「作業場面等を活用した状況把握」は2週間以内が基本とされています。

特別支援学校の生徒などの利用について

今の「就労アセスメント」では、特別支援学校高等部の生徒については3年生が対象です。しかし本人や関係者の中でB型の利用意向が決まった後に就労アセスメントが実施される事例もあり、形骸化を防止する仕組みが求められていました。

そのため就労選択支援では、3年生以外も対象とすることや複数回利用できるようにすることなどが検討されています。また特別支援学校以外の高校や大学の生徒・学生も、同様に在学中に利用できるよう検討がされています。


厚生労働省の資料はこちらこちらより。

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