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聴覚障害の女児死亡事故 逸失利益は85%約3,800万円余 判決

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5年前、大阪・生野区で聴覚に障害のある女の子が交通事故で亡くなり、遺族が賠償を求めた裁判で、2023年2月27日、大阪地方裁判所は約3,800万円余りの損害賠償を運転手側に命じました。

女の子が将来得られるはずだった収入について、労働者全体の平均賃金をもとに算出するよう求めた遺族の訴えを認めず、その8割余りをもとに算出しました。

5年前、聴覚障害のある女の子が事故で死亡し、両親らが運転手らに対し損害賠償を求めている裁判で、大阪地裁は将来得られるはずだった収入(逸失利益)を全労働者の85%と認定し、運転手らにあわせて約3800万円の賠償を命じました。  聴覚に障害がある井出安優香さん(当時11歳)は5年前、大阪市生野区で下校中に重機にはねられて死亡し、その後、両親ら遺族は運転手らに損害賠償を求めて訴えを起こしました。

これまでの裁判では、将来得られるはずだった収入(逸失利益)が、障害を理由に減額されるかが争点になっていて、両親側が全労働者の平均賃金から算出するよう求める一方、被告側は全労働者の約6割にあたる、聴覚障害者の平均賃金をベースにすべきだと主張していました。  大阪地裁は27日の判決で、「被害者には、将来さまざまな就労可能性があったといえる」としつつも、「聴力障害は労働力に影響がない程度のものであったということはできない」として、全労働者賃金の85%を基礎収入とするのが相当であると判断。  被告側に対し、約3800万円の支払いを命じ、判決の争点となっていた「逸失利益」については、健常者と同じ水準までは認めませんでした。

【障害者の「逸失利益」の判例】
障害者の「逸失利益」をめぐって、過去にはゼロと判断されることもありました。しかし、障害者を支える技術が進歩したことや、企業に義務づけられている障害者の雇用率が引き上げられたことなどから、裁判所の判断も変わりつつあります。

4年前の東京地方裁判所の判決では、事故で死亡した重い知的障害のある少年について、特定の分野での優れた能力を評価し、障害のない少年と同じ水準の「逸失利益」が認められました。

一方、おととしの広島高等裁判所の判決では、事故による障害で介護が必要になった全盲の女性について、労働者全体の平均賃金の8割が妥当だと判断され、健常者と同じ水準までは認められませんでした。
障害者の働く場が広がる中、時代にあった判断をすべきだという声が社会的に高まっています。


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