意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」を医師の処方箋がなくても購入できるようにすることについて、厚生労働省は一定の要件を満たす薬局で早ければ夏ごろから試験的に販売を行う調査研究を始める方針を示しました。
「緊急避妊薬」をめぐる議論の経緯、「試験的販売」の詳細などをまとめています。
「緊急避妊薬」現在は“医師による処方”が必要
緊急避妊薬は避妊ができなかったり性暴力を受けたりしたあとで意図しない妊娠を防ぐための薬です。
「レボノルゲストレル」というホルモン剤を成分とする錠剤の薬で、排卵を遅らせる作用などがあり、性行為から72時間以内に1回服用することで、80%以上の確率で妊娠を防げるとされています。
悪用や乱用されるおそれがあるなどとして、日本国内では医師による処方が必要で薬局では購入できないため、支援団体は▽夜間や休日ですぐに受診できなかったり、▽性被害に遭って受診をためらったりしているうちに妊娠し、中絶手術を余儀なくされる人も少なくないとして、薬局での販売解禁を求めていました。
薬局で「試験的販売」開始へ
厚生労働省は、2023年6月26日に開かれた専門家の検討会で、一定の要件を満たす薬局で試験的に販売を行いながら、医師の処方箋がなくても適正に販売できるかを検証する調査研究を始める方針を示しました。
販売を行うのは緊急避妊薬を調剤した実績がある薬局を中心にする予定で、研修を修了した薬剤師が販売にあたることなどの条件を満たす薬局を地域ごとに選定する方針です。
そのうえで販売時の説明などについての薬局に対する調査や、購入した人に対するアンケート調査を行うとしています。
厚生労働省は早ければ”2023年夏”にも販売を開始し、来年3月にかけて調査を行う方針です。