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発達障害の人が身につけるべき「世渡り発想」 自分の特性をもっと把握して付き合おう

発達障害の人にこそ身に付けてほしい処世術とは?(写真:ABC/PIXTA)

自分のことを「発達障害かもしれない」と感じている方や、家族・友人などに対して「この人は発達障害かもしれない」と感じることがあるという方は少なくないかもしれません。発達障害の人特有の行動パターンと、その背景となっている発達障害の人の心理は、さまざまです。『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』の著者であり、精神科医である本田秀夫氏は、それぞれの特性に合わせて生活環境を整えることの重要性を説きます。

前回記事で、発達障害の人特有の行動パターンと、その背景となっている発達障害の人の心理について、黒ひげ危機一髪のケースなどを取り上げながら紹介しました。

自閉スペクトラム症の人たちの楽しみ方は一般の人と少し違いますが、それはただ少数派というだけです。別の分野で突出した力を発揮することも多くあります。

しかしそうとは思わず、思い悩む方がいるのは事実です。そこでお伝えしたいことがあります。特性に合わせて生活環境を整えること、すなわち「環境調整」をしてほしいということです。

「環境調整」は一般的には特性を周りの人に理解してもらい、周りの人と一緒に生活環境を調整していくことを指しますが、ここではそれに加えて、本人が自分なりに世渡り術を身に付けていくことをおすすめします。

空気が読めないのは、致命的なことではない

例えば、対人関係が苦手な人。人に合わせることがうまくできないため、周りの人から「空気を読めない」などと言われます。そして、それが大きな欠点のように指摘されるわけですが、本当にそうでしょうか。

私は空気を読めないということを、そもそも致命的な弱点ではないと考えています。察しが悪いことをなまじ気にするから、それを弱点のように感じたり、困ったりするわけで、そんなことを気にしなければよいと思うのです。

空気が読めないというのは、裏を返せば、人から何を言われても動じないということでもあります。それは、自分の考えをもっていてブレないという長所でもあるわけです。そして、自分を強くもっている人は、大勢とそつなくつき合うことは苦手かもしれませんが、気の合う少数の仲間とは、うまくやっていけることがあります。

「空気が読めない」人の環境調整

一般の人は休みの日にやることがないと、友人たちに声をかけ、誰かと一緒にどこかへ行こうとするようなところがあります。しかし対人関係が苦手という特性がある人は、そんなふうに人に頼らなくても、自分の好きなことをして、1日を楽しく過ごせます。

また、このタイプの人は会話をするとき、相手との関係作りよりも話の内容そのものを重視します。相手の反応をみて話を調整したりせず、大事なことはそのまま伝えようとします。そういうところを「空気が読めない」と言われるわけですが、そうして愛想やお世辞でごまかさず、きちんと内容のある話ができるということも、長所の1つと言ってもいいのではないでしょうか。

ですから、環境調整や世渡り術を考えるときには、その「ブレない強さや内容重視の考え方を生かすこと」、そして「無理に誰とでも付き合おうとするのではなく、少数の仲間と交流すること」を心がけていただければと思います。

主張がはっきりしているという点では、人に意見を強く言いすぎてしまうことがあります。それによる摩擦や衝突を防ぐため、あらかじめ周囲に「自分は主張が強いので、言いすぎだと感じたら教えてください」と伝えておくのもよいでしょう。そうすれば、より安心して発言できるようになります。

注意欠如・多動性の特性がある人の環境調整

この特性がある人は気が散りやすく、また、時間がないときにもさまざまな活動に手を出してしまうため、結果として時間にルーズになりがちです。そのままではいろいろと困るので、この点にも環境調整を行いましょう。

ただし、時間にルーズなところを解消しようとしても、そう簡単にはいきません。このタイプの人に「前もって行動しよう」「ものごとはコツコツ進めよう」と言っても、それは難しいでしょう。思い立ったら行動したい人たちなので、あらかじめ決めた計画どおりに活動するのは苦手です。

このタイプの人は、待ち合わせに5分前に行くようにすると、その5分間じっとしているのもつまらないと思い、付近の店に入ったりして、結局遅刻して集合場所に現れるということがあります。

そういう部分を直そうとするよりも、発想を変えて「多少時間にルーズでも、最後には帳尻を合わせる」という方向で生活を整えていったほうが、うまくいきます。前もって行動するのではなく「ギリギリセーフをOKとする」、コツコツ進めるのではなく「一発勝負で結果を出す」というのが、このタイプの人には合っています。

また、そういうスタイルでも周りの人を困らせないように、「自分はどうしても少しルーズになってしまうところがある」ということを周囲に伝え、あらかじめ理解を得るようにすることも世渡り術として大切です。

すべての人が、環境を調整することができればよいのですが、なかには「やりたいこと」ではお金が稼げない、お金を稼ぐために「やるべきこと」をたくさんしなければならない、という人もいると思います。

「生産性」は低くてもいい、もっと優先してほしいこと

ただ、発達の特性があって、子どもの頃から「やるべきこと」の多い生活を強いられている人が、「やりたいこと」を我慢して、ただお金を稼ぐためだけの生活をしていたら、そう長くは続かないだろうと思います。

「やりたいこと」を十分にするためには、発達の特性に合わせて学校や職場などを選ぶこと、診断を受けて福祉サービスなどを利用することが必要になる場合もあるでしょう。人によっては、勉強や仕事はほどほどにして、福祉サービスを受けながら、無理せずに暮らそうという選択をすることもあると思います。

こうして、一人ひとりが自分のペースで生活することを推奨すると、そういうライフスタイルを「生産性がない」と言って批判する人もいるかもしれません。

しかし、生産性は、人間の健康や幸福よりも優先されるべきものではないでしょう。少なくともメンタルヘルスを大切にするという視点からいえば、人間にとって、生産性を高めることよりも自分の本当に「やりたいこと」を中心とした生活を送り、健康に幸福に暮らすことのほうが重要です。

最後に、発達障害は決して特別なものではないということをお伝えして、本稿を締めくくりたいと思います。発達の特性は、いわゆる「ふつう」と地続きのものです。そして、少数派には、少数派の生き方があります。そのことを少数派の人にも、多数派の人にもお伝えしたいと願っています。

この話が、発達障害という少数派のグループを、何かができない「障害者」というよりも、独特のスタイルをもつ人たちとして理解することに少しでも役に立ってくれれば幸いです。


以上ですが、如何でしたでしょうか?私は上記記事はとても良い内容だと思います。

というのも、発達障害はあくまで脳の特性であり、出来ること出来ないことの凹凸があるということです。それをトレーニングで少しでも平坦に近づけられたとしても限界がありますし、出来なかった場合はどうしましょうか。なにより自分が無理して色々な事を曲げて馴染めるように頑張ったところで、いつか限界が訪れ、全てを投げ出したくなる可能性が高いです。我々は大多数の定型発達に比べれば少数派ですが、しかしそれが間違っているわけではなく、場になじまないだけです。

例えば、夜の繁華街でヤンキーに絡まれたとします。その時に怖がらないようにすることがトレーニングで、そういう場に行かないようするのが環境調整です。であれば、自分が馴染めるようにする、自分が活きる場所を選ぶ等の環境調整をすることが大切だと思います。

ただ、トレーニングが必要ないと言っているわけではなく、もちろんトレーニングもやる意味はあります。ただ、なかなかトレーニングのやり方を教えてくれるところが無いので、それを今後はやっていかないとと考えています。


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