来年度から保険適用が拡大される不妊治療。その対象者について厚生労働省は、15日、中医協=中央社会保険医療協議会の総会で考え方を示しました。
不妊治療は、現在は一部を除いて公的保険が適用されず、経済的な負担が大きいことから、厚生労働省は、治療を受ける人の負担軽減を図ろうと来年度からは自己負担が原則3割となる保険適用の対象を拡大する方針です。
目次
保険適用の対象者や治療の回数についてです。
性別:保険適用の対象となる性別は、不妊症と診断された”男女”共です。
適用回数:40歳未満:治療開始時点の女性の年齢が40歳未満は子ども1人につき”最大6回”まで
43歳未満:治療開始時点で女性の年齢が40歳以上43歳未満の場合は”最大3回”まで
また、事実婚の男女についても保険適用の対象とするとしています。
現在は、不妊の原因を調べる検査や、検査の結果、不妊の原因となる症状が見つかった場合の薬や手術による一部の治療、それに薬や注射で排卵を促す「排卵誘発法」などに保険適用の対象が限られています。
厚生労働省が、15日示した不妊治療の保険適用についての考え方では、来年度から、精子を取り出し、妊娠しやすい時期に子宮内に注入する「人工授精」や、精子や卵子を採取し受精させたあと体内に戻す「体外受精」、それに注射針などを使って卵子に精子を注入する「顕微授精」などについても対象とすることを想定しています。
一方で、保険適用の対象にならない治療や検査を受けようとすると、その治療や検査にかかる費用だけでなく、患者が受ける不妊治療にかかる費用すべてが自己負担になります。
従来の助成制度では、不妊治療に対して「一律で30万円が助成されていた」が、今後は助成制度がなくなるので、保険が適用されない治療を受けようとすると、すべてが患者の自己負担となり実質的な負担がこれまでより増加するおそれもあります。
15日の総会では「保険適用外の治療への助成制度も検討すべきだ」とか「医療機関の実績や治療にかかる費用について情報公開を進めるべきだ」といった意見が出されました。中医協は今後、保険適用とする具体的な治療法ごとに価格を検討し、来年度の診療報酬の改定案に盛り込むことにしています。