子どもが親などから虐待を受けたとして児童相談所が対応した件数は、昨年度、全国で20万件を超え過去最多を更新したことが厚生労働省の纏めで分かりました。
厚生労働省は「新型コロナウイルスの影響で子育てに悩む保護者が孤立するリスクは高まっていて見守り体制の強化を進めたい」としています。厚生労働省のまとめによりますと、昨年度、18歳未満の子どもが親などの保護者から虐待を受けたとして児童相談所が対応した件数は全国で20万5029件に上りました。
虐待の対応件数は統計を取り始めた平成2年度以降増え続けていて、昨年度は前の年度より1万1249件、率にして5.8%増えて過去最多を更新しました。
虐待の内容別にみますと、最も多かったのは、暴言をはいたり、子どもの目の前で家族に暴力を振るったりする「心理的虐待」で12万1325件(59.2%)に上り、前の年度より1万2207件、率にして11.2%増えました。
次いで殴るなどの暴行を加える「身体的虐待」が5万33件(24.4%)、子どもの面倒をみない「ネグレクト」が3万1420件(15.3%)、「性的虐待」が2251件(1.1%)となっています。
また児童相談所への相談の経路では、警察などからの通告が増えて10万3619件(50.5%)となり、最も多くなりました。
一方で新型コロナウイルスの感染拡大で休校や休園が相次いだ学校や保育所、それに幼稚園、自治体の福祉事務所、医療機関などからの通告はいずれも減少しました。
厚生労働省は前の年度からの増加率が2019年度は21.2%で昨年度は5.8%と小さくなったことなどから新型コロナウイルスの影響について懸念はされるが、現時点で明確な関連性はみられないとしています。
そのうえで「新型コロナウイルスの影響で子育てに悩む保護者が孤立するリスクは高まっている。一方で感染の拡大で地域などで子どもを見守る機会は減っている。民間団体などと連携して見守り体制の強化を進めたい」としています。
去年3月までの1年間に親などから虐待を受けて死亡した子どもは心中を除いて全国で57人に上り、およそ半数が0歳児となっていることが厚生労働省のまとめでわかりました。
厚生労働省は、去年3月までの1年間に虐待を受けて子どもが死亡した事例について専門家による検証結果をまとめました。
虐待の内容をみると「身体的虐待」が17人(29.8%)、育児を放棄する、「ネグレクト」が13人(22.8%)でした。死亡した時の年齢は0歳が28人(49.1%)とおよそ半数となっていて、このうち11人が生まれて1か月未満でした。またネグレクトについて、過去12年間の事例を詳しく検証した結果、死亡した時の年齢は0歳の割合が58.7%と虐待死の全体の傾向よりも高くなりました。
母親が子育てがうまくできなかったり不安があったりするケースや、妊婦健診を受けていなかった場合が多く、母親への支援策が必要だと指摘しています。
一方去年3月まで1年間に心中で死亡した子どもは21人で、保護者の精神疾患や経済的困窮などが動機となったケースが多くなっています。
おそらくですが、児童虐待の件数が過去最多となった原因は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で保護者のストレスが例年より蓄積していることに加え、子供を預けられないことにより一緒にいる時間が増えたこと、在宅ワークで一緒にいる時間が増えたことなどが考えられます。
今後も影響の長期化でそのリスクはさらに大きくなっていく可能性が高いので、周囲や自治体が連携して注視していく必要があると考えられます。
また、ご自身の感情をコントロールできないほどにストレスが溜まっている場合は、電話一本で愚痴を聞いてもらえる電話相談に連絡するのも有りだと思います。詳細は下記より。