子どもが親などから虐待を受けたとして、児童相談所が相談を受けて対応した件数は2021年度、20万7000件余りで過去最多を更新したことが、厚生労働省のまとめで分かりました。
厚生労働省によりますと、昨年度、18歳未満の子どもが、親などの保護者から虐待を受けたとして、全国の児童相談所が相談を受けて対応した件数は、速報値で20万7659件でした
内容別にみると、最も多かったのが、
・子どもの前で家族に暴力を振るうなどの「心理的虐待」で、12万4722件と全体の約60%。
・殴るなどの暴行を加える「身体的虐待」が4万9238件で約25%。
・育児を放棄する「ネグレクト」が3万1452件約15%
・「性的虐待」が2247件でした。
相談の経路は、下記です。
・警察などが10万3104件で、全体の半数近くを占め、
・近隣の知人が2万8075人
・家族や親戚が1万7344人
虐待の対応件数は、統計を取り始めた平成2年以降、増加傾向が続いていて、昨年度も前の年度より2615件増えて、過去最多を更新しました。
ただ、前の年度からの増加率は、
▽平成24年度以降は10%から20%程度で推移していましたが、
▽令和2年度は5.8%
さらに、
▽昨年度は1.3%となりました。
厚生労働省は「関係機関と連携を強化する中、児童相談所への通告が増え続けている。今後も連携し、虐待に至る前に予防するなど、子どもの命を守る取り組みを強化していく」としています。
厚生労働省は、令和2年度に、親などから虐待を受けて死亡した子どもの、専門家による検証結果を公表しました。
それによりますと、令和2年度に親などから虐待を受けて死亡した子どもは、心中を除くと全国で49人でした。
内容別では、
▽育児を放棄する「ネグレクト」が22人
▽「身体的虐待」が21人
▽「不明」が6人
となりました。
このうち、「実の母」から虐待を受けていたのが29人で、全体の60%近くを占めました。
年齢別では、
▽「0歳」が32人で最も多く、
次いで、
▽「3歳」が4人
▽「4歳」が3人
などでした。
また、「0歳」のうち、月齢0か月の新生児は16人でしたが、このうち5人が児童相談所や市区町村など、関係機関の関与がありませんでした。
件数が増えた要因として、児童虐待の可能性がある場合は通報する、関係機関の積極的姿勢などがあると思います。ただし、中には虐待していない中の冤罪のような場合もありますので、見極めは相当に難しいと思います。